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お知らせ

2025年09月01日

令和7年度 総務省「インターネット上の偽・誤情報等への対策技術の開発・実証事業」に採択されました

このたび、弊社が提案した「放送波を活用した災害時における偽・誤情報対策技術の開発・実証」が、総務省の令和7年度「インターネット上の偽・誤情報等への対策技術の開発・実証事業」(注1)に採択されましたので、ご報告いたします。本実証は、令和6年度に採択された同公募事業(注2)の継続的な取り組みとして位置づけられています。

本実証の概要

災害時、SNS等で拡散される偽・誤情報は、住民の避難行動や自治体の初動対応に大きな混乱をもたらします。本実証では、地上デジタル放送のIPDC技術とブロックチェーン技術を組み合わせ、通信環境が不安定な状況でも信頼性の高い情報を提供します。これにより、受信端末側での照合・検証が可能となり、「プレバンキング」の仕組みを実現し、現地で得られた情報と突き合わせることで偽・誤情報の見極めを支援します。
※プレバンキングとは、偽・誤情報が広がる前に、事実に基づいた信頼性の高い情報を先回りして提示することで、誤解や混乱を未然に防ぐ手法です。情報空間の「空白」を埋めることで、後から拡散される偽情報に対する免疫を高める効果があります。

※下図は、本実証の概要図です。

本実証の概要図
用語解説

・IPDC(IP DataCast)とは
地上デジタル放送の仕組みを利用して、さまざまな形式のデジタルデータを送信できる技術です。インターネットを使わずに情報を届けられるため、災害時に通信インフラが不安定でも、広範囲に安定した情報配信が可能です。
※地上波デジタル放送を利用しますが、通常のテレビ受信とは異なり、専用の受信機器が必要です。

・ブロックチェーンとは
改ざんがきわめて難しい特性をもつデータベースで、ネットワーク上の複数のコンピュータが互いに記録内容を確認しながら、情報を共有・保管する技術です。記録された情報は、後から「誰が・いつ・どのような情報を発信したか」を検証できるため、偽・誤情報の検証を支える主要な技術として活用しています。
※多くのブロックチェーンでは情報を記録する際に手数料(仮想通貨)が必要となります。

本実証における技術検証と開発内容

・災害時でも機能する情報配信基盤の構築と、偽・誤情報検知対象の拡張
情報配信基盤の信頼性・安定性を高める改良を行います。また、前年度に検証対象とした画像・動画に加え、今年度はテキストも対象とし、偽・誤情報の検知精度を高めます。

・スマートフォンとの連携による誘導支援機能の開発
信頼性が検証された情報と現在地の位置情報に基づき、直感的かつ即応的に避難方向等を提示する誘導支援インターフェースを構築します。これにより災害時の適切な判断と行動を支援します。

・本放送設備(送出設備)における実証実験の実施
社会実装や他局での普及を念頭に、実際の地上デジタル放送設備を活用した技術検証を行い、本技術が確実に動作するかを検証します。あわせて、導入時の課題や要件を明らかにし、普及可能な実装モデルとして提示します。

・制度面に配慮したブロックチェーン利用環境の設計と開発
仮想通貨の直接的な管理を不要とすることで、公共機関や企業でも導入しやすい構成とします。

・検証基盤に対する安全性評価の実施
本実証で構築する検証基盤について、社会実装に向けた有効性と安全性の観点から第三者機関による調査・評価を実施し、想定される課題の抽出と対応方針の検討を行います。

弊社は引き続き、IPDCとブロックチェーンの活用による実用的なユースケースの提示や検証を通じて、本技術の社会的な理解と普及に努めてまいります。

[総務省HP]「インターネット上の偽・誤情報対策技術の開発・実証事業」の公募結果
注1)令和7年度
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu02_02000444.html注2)令和6年度
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu02_02000415.html

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